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民法改正で交通事故の損害賠償請求がどのように変わったか?

交通事故コラム

2020年4月1日,改正民法が施行されました。

これに伴い,交通事故による損害賠償請求も,大きな影響を受けました。

①人身事故の損害賠償請求の消滅時効期間が3年→5年に

②後遺障害・死亡による逸失利益の金額が増加

③遅延損害金の利率が5%→3%に

以下,それぞれについて解説します。

①人身事故の損害賠償請求の時効期間が3年→5年に

改正前の民法では,交通事故等の不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は,損害の発生と加害者を知った時から3年でした。

これに対し,改正民法では,人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権(死亡事故や人身事故の場合の損害賠償請求権)については,損害の発生と加害者を知った時から5年となりました。この改正規定は,民法改正前に発生した交通事故で,改正時点で時効が完成していなかった場合にも適用されます。

なお,物損事故の損害賠償請求権(修理費用等)は,改正後も3年のままですので,注意が必要です。

②後遺障害・死亡による逸失利益の金額が増加

後遺障害が認定された場合や死亡した場合,逸失利益(将来の減収分ないし生存していたら得られたであろう収入分)の賠償を請求することができますが,将来取得するはずの利益を現在受け取る形になることから,中間利息相当額を控除する扱いがされています。改正前の民法では,中間利息の利率を5%で計算していましたが,改正民法では,3%で計算することになりました(なお,この利率は将来,さらに変更される可能性があります)。そのため,控除される利息額が減少する結果として,受け取ることができる逸失利益の金額が増加することになります。

【例】27歳,年収400万円の方が,片方の足が全廃となり第5級の後遺障害認定を受けた場合
【改正前】
4,000,000円×0.79(労働能力喪失率)×17.1591(労働能力喪失期間40年のライプニッツ係数)=54,222,756円
【改正後】
4,000,000円×0.79(労働能力喪失率)×23.1148(労働能力喪失期間40年のライプニッツ係数)=73,042,768円

上記の例のとおり,特に,比較的若い方が,重度の後遺障害を負った場合や,死亡された場合には,かなりの額の違いが生じます。

注意

この改正法が適用されるのは,2020年4月1日以降に発生した事故になります。このため,事故発生日が2020年4月1日より前か,それ以降かにより,取り扱いが異なることになりますので,注意が必要です。

③遅延損害金の利率が5%→3%に

改正前の民法では,遅延損害金の利率は5%とされていましたが,改正民法では,3%に変更されました(この利率は,将来,さらに変更される可能性があります)。その結果,訴訟等で請求できる遅延損害金は減少することになります。

注意

この改正法が適用されるのは,2020年4月1日以降に発生した事故になります。このため,事故発生日が2020年4月1日より前か,それ以降かにより,取り扱いが異なることになりますので,注意が必要です。

 

執筆弁護士:小向俊和

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